仲良くなれない

私は「仲良くなりたいな」と思った人と仲良くなれなかった事がある。

と言うか、大体、なれない。

 

誰とでも分け隔てなく接する人気者の人格者は私ともその機会さえあれば朗らかに接してくれるだろうが、私が特別だなんて事は有り得ない。

私と積極的に仲良くなりたい人間が、

中々居ないし、居ても上手く歩み寄れないのだ。‥‥私が? うん、そう、多分私が。私の問題。

 

どうしてか皆いつの間にか友達が出来ていて、いつの間にか仲良くなっていて、いつの間にか距離が縮むのだ。

どうして?

どうやって?

 

私は幸いな事に「仲良くなりたいです」と言って頂けて、「わ!嬉しい!是非!」って会話をした事もあるけど、あるのに、一切何か起こる事はなく「見掛けたら会釈する顔見知り」に昇格して終わりだった。

その子は何と言うか、傍から見てても‥マブダチ?みたいな凄く仲の良い友人達が居て、とても眩しくて、でも「あぁ私はこの輪の中に入れる事は有り得ないんだな」って突き付けられるだけみたいだった。羨ましかったけど、絶対入れないんだなって良く分かった。私は絶対に部外者なんだな、って。

一切、直接の接点が増える事なんて無かった。情報も全く増えない。本当の本当に偶然出会す機会があれば挨拶すると思う、ただそれだけの‥ただの他人。

時間が過ぎる程にそんな偶然の産物もどんどん無くなる。最早一切無いだろう。二度と会う事無いと思う。多分。いやもしかしたら見掛ける機会が一度二度あるかも知れないけど、その時お互い会釈を交わすかすら怪しい。気付かないかも知れないし、気付いても挨拶する必要性を感じないだろう。少なくともそこでまさか仲良くなるなんて有り得ない。

その位の、他人。

 

他の人でも似たような事があった。

私は相手を一方的に存在だけ知っていて、しかしそれだけ‥の人。

だったが、これはきっと、私‥を指している、気がする、勘違いではなくて、私を覚えて私を向こうから知り始めている、と思う‥みたいなのが。

勘違い甚だしいパターンだと恥だ。下手な事は出来ない。

それはもしかしたら向こうも同じだったかも知れない。特別に接点のない、これと言った関係の全くない人。直接挨拶を交わしたこともない人。そんな相手にどう‥距離を構えるべきなのか。

その時もお互いに対して完全に部外者だった。

私は相変わらず友人が少なく、しかし向こうは随分と躍進目覚ましい御仁で、周囲に沢山人が居る様な‥人望も厚いちょっとしたカリスマ。

考えずとも当たり前で、そんなだから私は最初、何らの接点もないのに一方的に相手の存在を知る事になったのだから。

結果、何となく双方忌避する様に決着した。

 

そしてこれらはほんの一例で、私は大体、これは距離が縮まりそう!仲良くなれそう!って機会ですら驚く程綺麗に逃すのだ。

どうして、皆そんなに誰かと仲良くなれるの、何をしたの、何を持ってるの‥?

私は私にはっきり興味を持ってくれている人ですら仲良くなれない、何故か、大体誰かと知り合ってもせいぜい顔見知りから知人に昇格したら上出来だ。どうしたら他人と仲良くなるの‥?

 

あっという間に意気投合して何だか凄く楽しそうな皆を目にしては呆然とする、羨ましくてならない、何がそうしてるの?

距離が縮むって何なのか全く分からない。私はきっとずっとこんな感じで、「私と仲の良い人は居ない、そしてしかし他人は誰かととても仲が良いのだ」と言う寂しさを事ある毎に思い出しては寂しくて悲しくて泣くんだろう。

どうして、皆は仲良くなれる人同士で、私はいつでも部外者なんだろう、こんなにも‥って、ただ寂しくて泣くんだ。

友達が居ない。

好きな人には好かれないのだ。

それが悲しくて苦しくて、そうして私の、誰からも仲良くなりたいと思われない事に‥無価値である事に絶望する。

他の人とはとても仲が良いのに、私は友人になれない。知り合いになれたらこの上ない。そのどうしようもない距離。

 

私の人生はそんな、「私では駄目なのだ」と言う悲しみに満ちている。

どうして、もこうしてもない。ただ、私では駄目なのだ。私では。私は私だから。ただただ私だから、駄目なものは駄目なのだ。

私には何も出来ない。